金魚の主な病気と治療法

2021年6月24日

出典:日本動物薬品(株)

金魚を飼うと、必ずと言っていいほど頭を痛めるのが病気。金魚に限らず、魚の病気を治すのはかなり難しいことではあるが、ざっとその治療法をまとめてみたいと思う。

主な病気とその対処法

金魚の場合、病気の原因を特定することは非常に難しく、適切な処置が施されないまま死んでしまうケースが多い。また、病気がわかった時点で末期症状となっているケースも多く、日頃から健康状態をじっくりと観察する事が重要だ。

金魚が病気になった場合は、魚病薬を水槽や隔離水槽に入れて治療させるが、このことを一般的には「薬浴(やくよく)」と呼ぶ。

一部治療薬の中には発がん性物質が含まれているものあるので取り扱いには十分注意したい。また、使用に際しては説明書に記載された規定量をきちんと守るようにしよう。

以下は主な病気とその症例について述べるが、一概に言い切れない部分もあるので、複数の本やネット等の情報を得て、総合的に判断して頂ければと思う。

 

スレ傷

砂利や装飾品、給排水パイプ等によって身体が傷つくこと。病気とは異なるので、飼育環境に問題が無ければそのまま放置しても自然治癒するケースが多いが、傷が原因になって他の病気を引き起こしたりする事もあるので注意したい。

治療法

これといった治療法は無いが、0.5%程度の塩浴をさせたり、少量の水換え(水量の1/5以下)を頻繁にして新陳代謝を高めると治りが早くなる。

 

白点病

1mm程度の白い点が無数に付着する病気。飼育水に潜む繊毛虫(せんもうちゅう)体表面に付着することで発症するが、水質の悪化や急激な変化によって魚の粘膜が薄くなる(免疫が落ちる)ときに発症しやすい。

また、この繊毛虫を根絶させるのは難しいので、金魚を健康な状態に保つ事も大切だ。

治療法

市販されているメチレンブルー溶液(グリーンFリキッド等)を使うか、0.5%の塩浴をさせて水温を30℃ぐらいにまで上げて治癒する。

ただし、薬浴だけでは繊毛虫は完全に駆除できないので、白点が消えたら頻繁に水換えを行い、その数を減らすことに努めよう。

 

尾腐れ病

尾びれが溶ける、もしくはささくれるようにして無くなってしまう病気。主にエロモナス菌カラムナリス菌に感染して引き起こされる病気。スレ傷から感染するケースも少なくはない。

治療法

抗生物質を含む市販の魚病薬(観パラD、グリーンFゴールドリキッド、グリーンFゴールド、エルバージュエース等)を使用する。

ただし、これらの魚病薬を水槽に直接入れると、濾過バクテリアに悪影響が出るため、別の容器に魚を移して使用する事が望ましい。

 

穴開き病

身体の表面に腐ったように穴が開いてしまう病気。エロモナス菌やカラムナリス菌の感染症と言われているが、ヘルペスウイルスによる症例もある。

治療法

尾腐れ病同様、市販の抗生物質を含む魚病薬(観パラD、グリーンFゴールドリキッド、グリーンFゴールド、エルバージュエース)を使う。ただしヘルペスウイルスには薬浴の効果はほとんど無いので、重度の場合はすぐに魚を取り出して処分する。

 

ポップアイ

その名の通り、目が飛び出てしまう病気。エロモナス菌による細菌感染症の可能性が高いが、エアレーションの気泡がを引き起こすケースもごく稀にある。

治療法

市販の抗生物質を含む魚病薬(観パラD、グリーンFゴールドリキッド、グリーンFゴールド、エルバージュエース)を使う。

 

松かさ病

鱗が逆立ち、身体が膨れているように見える病気。これもエロモナス菌による感染症の一つ。

 

松かさ病を患った金魚

松かさ病は治癒率が低く「不治の病」と呼ばれてことから、改善の見込みが全く無ければ処分する事も必要。

治療法

市販の抗生物質を含む魚病薬(観パラD、グリーンFゴールドリキッド、グリーンFゴールド、エルバージュエース)を使う。

 

水カビ病

身体に白いカビのようなものが付着する病気。スレ傷から発症する事が多い。

治療法

市販の魚病薬(グリーンF、グリーンFリキッド)だけでも治療可能だが、塩浴と併用すると効果がアップする。

 

寄生虫

イカリムシやウオジラミといった寄生虫が付着する。寄生されたからと言ってすぐに死ぬようなことは無いが、徐々に衰弱したり、傷口から他の病気が感染する事があるので、その都度適切に処置したい。

治療法

肉眼で虫を確認出来るならばピンセット等で直接取り外しても良いが、金魚の扱いに慣れていないと逆にダメージを与えてしまう事があるので、市販の抗生物質を含む魚病薬(リフィッシュ、トロピカルN)を使用するのが無難だ。

 

ツリガネ虫病(エピスチリス)

白い点が米粒ぐらいの塊ならば、白点病ではなくエピスチリスを疑う。

白い塊は寄生虫が集まったものなので、即座にダメージを与えることは無いが、寄生した部分から他の感染症を引き起こすことがある。また、脂肪分の塊や角質層が変化してそう見える場合もあるので注意深く観察しよう。

治療法

これといった治療法は無いが、メチレンブルーもしくはマラカイトグリーンの入った薬を使用する。これで効果が無ければ、寄生虫駆除の薬品(トロビカルN、リフィッシュ)を使用すると治癒する場合がある。

 

転覆病

バランスが取れず、横になったり腹部が浮いてしまう病気。主に流金型の金魚がなりやすい。原因は餌の消化不良によるものが大半。この場合は餌の見直しをすると良い。

治療法

水温を22〜26℃(消化機能が最も良く働く水温)に合わせ、2〜3日ほど断食させると治癒しやすい。また、餌が原因となっているケースが多い。また、長期間続くようであれば内臓疾患の可能性があるので、その場合は抗生物質の入った薬を使って薬浴させる。

 

追い星

2〜3mm程度のやや先端が尖った白い点が、鰓蓋やひれの端に多数見られる時があるが、これは白点病ではなく「追い星」と呼ばれるもの。病気では無いので治療の必要は無い。ちなみに金魚の場合、この追い星はオスにたくさん現れる。

 

治療のポイントとコツ

金魚の大半の病気は、エロモナスやカラムナリスといった水槽内に常駐する細菌によって引き起こされるが、環境の変化、ストレス等によって免疫機能が低下した時に感染しやすくなるので、いかにストレス無く飼育出来るかがポイントになる。

また、ヘルペス以外は基本的に伝染する病気ではなく、飼育環境が悪化して魚の免疫力が低下し、その結果として感染するものと認識しておきたい。

薬を使って治療することも大切だが、病気が再発するようならば飼育環境そのものを見直すことも大切だ。

 

トリートメントタンクの必要性

薬の中にはバクテリアにダメージを与えるものが少なくなく、薬をそのまま水槽に投入すると飼育環境を悪化させるケースもあるので、トリートメントタンクに魚を移してから薬浴させた方がなにかと安心だ。

基本的に薬浴は長時間するものでは無いので、トリートメントタンクはブラケース程度のもので十分対応出来るが、使用する薬の量を把握しやすくする為、最低でも10ℓ以上の水量を確保できるものを選ぼう。

 

まとめ

繰り返すようだが、金魚に限らず、魚が病気にかかってしまうと完治するケースは少ない。

もちろん、できる限りの手を尽くして薬浴、治療することが望ましいが、病状が酷く治癒の見込みが無いと判断したら、他の魚が二次被害に遭わない為に処分する勇気も必要だ。

これは非常に辛いことかもしれないが、気持ちを切り替え、最期までしっかりと魚を見届けよう。

 

2021年6月24日病気と治療

Posted by ドン・モフチョ