魚と共に生きるン十年
魚を飼い始めたきっかけ
小川で釣ったり捕ったりした小魚を家に持ち帰って飼ってみる……これがきっかけとなってアクアリウムを始めた人は少なくないはず。かく言うドン・モフチョも似たようなもので、某遊園地の「金魚釣りコーナー」で釣った金魚を飼い始めたのがそのきっかけになった。
もっとも、幼稚園ぐらいの出来事なので記憶はあやふやだが、この金魚を実にあっけなく殲滅させてしまったことだけは今でもハッキリと覚えている。
幼き日のモフチョは、水槽に金魚達の隠れ家を入れてやる事を試みる。
候補として上がったのは、ベランダに転がっていた植木鉢の破片。当然こいつは泥やら埃まみれになっていたので、そのままじゃ水が汚れると思い、水洗いしてから入れてやる事にした。
モフチョは金魚達を驚かすまいと、そっとその植木鉢を水槽に入れてみた。なんだかとても新鮮。水槽がパッと艶やかになる。生意気にもモフチョはそう感じた。
早速そこへ金魚が入っていく。その光景にモフチョはしばし見とれていたが、植木鉢からユラっと出て来た金魚の姿を見て、モフチョは目が点になってしまった。なぜならば、金魚たちが身を斜めにしてピクビクと痙攣していたからだ。
何が起こったのかまるで解らないモフチョ。横たわる金魚に向かって思わず
「どうしたんだよ!」
と叫んでみるも、金魚は身体を震わせた後ぴくりとも動かなくなってしまった。
呆然とするモフチョを前に、さらに一匹の金魚がその植木鉢に入っていった。するとこの金魚も植木鉢から出て来ると、同じように身体を震わせて死んでしまった。
そモフチョはようやく植木鉢が原因ということに気付くが、時既に遅し。慌てて植木鉢を水槽から取り除くも、残った一匹の金魚も間もなく昇天してしまった。
突然の出来事に言葉を失ってしまった幼き日のドン・モフチョ。
「植木鉢が金魚を殺したんだ!」
と激しい怒りに身体を震わせ、植木鉢をその場で粉々に粉砕する。そして水槽の前に座り、唇を噛み締めながら泣いた。もぬけの殻となった水槽を目にする事で、ようやく自分の過ちに気付いたんじゃなかろうか。
今となっては何が原因で死んだのかは解らない。灰汁なのか、農薬の類なのか、いろいろと「推測」は出来るだろうが、金魚を殺してしまったという事実だけは揺るぎない。そしてそれは、モフチョの手によって引き起こされた「人災」だったのである。
多くの犠牲があったからこそ
この一件からしばらくの間は魚を飼う事は出来なかったが、小学校高学年になってから再び魚を飼い始める。
金魚すくいの金魚や釣って来たクチボソ、フナ、タナゴなど、いろんな魚を飼いつつ、それらの死からいろんな事を独学で学んでいった。
そして高校生になると、それまでの飼育に飽き足らなくなったのか、熱帯魚を飼い始める事となる。多感な時期だからなのかどうなのか、とにかく熱帯魚を飼う事にただならぬ興味が涌いたからだ。
それからはやン十年近くの月日が流れたが、今でもこうして魚との付き合いがあるのは、やっぱりあの金魚の一件があったからなんじゃないかとふと思い出す時がある。
今いる魚達は、モフチョの手によって生死=運命を決められてしまった、つまりは多くの魚達の犠牲があったからこそ飼育することを続けているのだろう。単なるモフチョのエゴかもしれないが、これからも出来る限り魚は飼い続けたいと思っている。
長く飼っているからといって専門的な知識が特別あるわけでもないが、このブログを通じてよりたくさんの飼育者と末永く付き合っていければなによりだ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません